アフリカの蹄/帚木蓬生/講談社文庫2006/02/19

南アフリカに留学していた日本人医師・作田は、絶滅したはずの天然痘が黒人達に蔓延していることに気付く。上司である白人医師達から恫喝とも取れる警告を無視し黒人社会へ飛び込み、黒人医師と治療に当たる作田は、この天然痘が、黒人殲滅のために南ア極右勢力が巻き散らかした結果と知る。黒人解放勢力と協力する作田は、天然痘ワクチンの入手、生成に成功するのか。

世界初の心臓移植が行われたのは南アフリカでした。レシピエントは白人、ドナーは黒人。この「アフリカの蹄」を読むと、なぜ心臓移植技術が南アで進んでいたのかが良く分かります。

南アのアパルトヘイト政策、そして経済をバックに名誉白人という称号に増長する日本人の描写にウンザリするほど(それは著者の力量なのです。誤解無きよう)ですが、作田がワクチン入手に奔走する箇所や、希望すら見えてくるラストに感動します。この著者らしい物語であると感じました。オススメです。

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