平家物語/吉村昭/講談社2017/12/11

 先日、未読の吉村昭作品を見つけたと書きましたが、またしても未読がありました。現代語訳の平家物語です。初出は2001年です。
 
 当初は吉村昭の文体に触れることが目的だったのですが、読み始めると物語の面白いこと。現代語訳、かつ吉村昭の文章なので当然といえば当然です。古典を語る上で適切かどうかは自信がありませんが、エンタテイメントと言っても良いくらいでした。
 
 読後「驕れる平家は久しからず」の「平家」は、どんなものにも置き換わるのだなと思いました。しかし、当時の日本人(権力者)の残酷なこと。刃向かうものや逃げるものの首をすぐに切り落としてます。泣きながらとは言え、この残酷さは日本人の本質かもしれませんねえ。

七十五度目の長崎行き/吉村昭/河出書房新社2017/10/31

 もう新作は読めないのですが、このように未読のエッセイがまとまって出版されると、それそれは嬉しいわけです。2009年に出版されているので、私が単に見落としていただけの話なのですが。
 
 純粋に旅先での出来事を書いているものもあれば、「陸奥爆沈」「高熱隧道」「零式戦闘機」などの取材余話というべきエッセイがあります。本編を読んだ、読まないに関わらず、興味深い話になっています。
 
 このエッセイを読み、久しぶりに著者の文体に触れました。これからもう一度、すべての作品を読み返してみようかと思います。
★★★★

蛍/吉村昭/中公文庫2008/06/05

 収録作品の『休暇』が映画化された。再読しても著者の視点はぶれていない。それは読む側に多少の緊張感をもたらす。活字を追うことの醍醐味である。 ★★★★

与之助の花/山本周五郎/新潮文庫2007/07/31

著者名を冠した賞が存在することになんの疑問も持たないね、やっぱり。 ★★★

季節のない街/山本周五郎/新潮文庫2007/07/11

生きること、働くことは『巡礼』にも似て。「青べか物語」の続きですな。★★★

ちいさこべ/山本周五郎/新潮文庫2007/02/24

私が今さら言うことはないっす。★★★★

回り灯籠/吉村 昭/筑摩書房2007/01/18

背筋を伸ばして読むべし。 ★★★★

遺品整理屋は見た!/吉田太一/扶桑社2006/12/24

覗き見趣味を満たし、なおかつ自分を顧みる。 ★★★★

おさん/山本周五郎/新潮文庫2006/11/30

私ごときに何かいう言葉なんてありません。「恋愛」とは古くて新しい問題です。悩む方は一読を。

人情裏長屋/山本周五郎/新潮文庫2006/11/19

山本周五郎の力が爆発している「長屋もの」の短編集です。義理、人情、粋、我慢…。エンタテイメントのマスターピースだと思ってます。