鷲と虎/佐々木譲/角川文庫2006/06/25

 1937年。日中両国は全面的な戦闘に突入した。帝国海軍パイロット麻生哲郎は中国に向かい、アメリカ人パイロットのデニス・ワイルドは中国義勇航空隊として中国の空を飛ぶ。やがて二人はお互いの名前を知り、一対一の航空戦を展開する。

 この著者の描く飛行機は、なぜこれほど格好良いのでしょう。近代航空戦の端緒で、匿名の戦闘でもあったこの時期、お互いに名乗り合った上で一戦を交える。それはサムライとガンマンが対峙するような緊張感に包まれています。

 ただこの部分だけを挙げると単なる戦争物語ですが、冒頭の数ページが全体にある種の「湿度」を与えています。こういうのが大好きな私は、もうそれだけでOKです。『ベルリン飛行指令』と同じように一気に読んでしまいました。オススメです。

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