白い夏の墓標/帚木蓬生/新潮文庫2006/07/03

 パリで開かれた肝炎ウィルス国際会議に出席した佐伯は、米国陸軍微生物研究所のベルナールと名乗る老人の訪問を受ける。かつての同僚であり、アメリカに留学し、その後事故死した佐伯の親友である黒田が、実は自殺であったことを告げたベルナールの情報を元にアンドラという小国に向かう佐伯が掴んだ真相は。

 この著者の実質的なデビュー作です。単に友人の死を懐古的に探ろうとするだけでなく、自殺した背景には「大国の横暴」があるとする物語には、その後の作者の道筋が見えている気がします。デビュー作には、その作者の全てがあるとはよくいったものだと思います。

コメント

_ 冷やしあめ ― 2006年07月03日 21時55分22秒

「デビュー作には、その作者の全てがある」
なるほど~
なんとなくわかる気が…

_ 岩田 ― 2006年07月03日 22時48分34秒

冷やしあめさん>
いや、単なる受け売りです(笑)。でも、実感として肯定できるんですよね。

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