ベルカ、吠えないのか?/古川日出男/文藝春秋2006/01/29

戦時中、アリューシャン列島に取り残され、その後上陸した米軍管轄に置かれた日本軍籍の犬たち。彼らは島を離れ、それぞれの運命に従い世界中を彷徨する。もちろん犬自身や彼らの子孫が。彷徨は犬たちの現代史である。

いやー、参った。個性的な文章、今まで私が触れたことのない犬の世界、そして犬の歴史。読み終わった今でも少々興奮気味です。これは良くある犬と人間のチンケな話ではありません。いや、人間との関係ではなく、犬の正史と言って良いかも。

終章で話がグダグダになっている感は否めませんが、それでも強くオススメします。もう一回、読んでみようかな。

コメント

_ 山中 ― 2006年05月19日 08時23分52秒

このブログで書評を読んで以来、ずっと気になっていました。

古川さん、三島由紀夫賞に決まりましたね。

新聞には「言葉を疾走させて斬新な物語を作る・・」
「常に奇抜な設定と文体で新風を吹き込んできた・・」とあります。

何だか読みこなすのに体力が要りそうだけど、この機会に読んでみようかな。

_ 冷やしあめ ― 2006年05月19日 21時02分09秒

あ、この方の「LOVE」が賞をとったのですね…

_ 岩田 ― 2006年05月21日 11時15分57秒

山中さん>
三島由紀夫に興味がないので「三島由紀夫賞」は全くチェックしていませんでした。賞とは別物ですけどね。

この本は良かったですよ。私が今まで触れたことのないジャンルの物語でした。是非。

冷やしあめさん>
「LOVE」? タイトルからして、この本とはベクトルが違う感じですね。

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