彰義隊/吉村昭/朝日新聞社2005/12/06

幕末。混乱する江戸を憂い、最後の将軍慶喜の許しを請うための嘆願書を朝廷に提出した上野寛永寺山主・輪王寺宮能久親王は、その嘆願書を無視され、皇族であるにもかかわらず朝敵となってしまった。敗走する彰義隊の志士と共に北へ逃れる宮。しかも、奥羽越列藩同盟の盟主となってしまう。結局拘束され謹慎の身となるが、許されて後、新政府の元、ドイツへの留学を果たした。そして、日清戦争へと巻き込まれていく。

おこがましくも薩長嫌い、そして新撰組嫌いの私(笑)。『色にもつなら彰義隊』とその筋のお姉さん方に言わしめた程の彼らの尽力(というか格好良さ)を背景に、その江戸を愛するが故に朝敵となってしまった皇族の「逃走」を緻密に描いていて面白く読めました。本当にこの著者は「逃げる、漂流する」を描くと素晴らしいです。この著作でも、宮が拘束されてから台湾に渡る章は、なんとなくあっさりという感じでしたし(笑)。

いや、とにかく、私の薩長嫌い、彰義隊びいきに拍車がかかりそうです。

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