アニーの冷たい朝/黒川博行/創元推理文庫2005/06/05

殺した女性をマネキンのように着替えさせる連続殺人事件を捜査する警察とデート商法を行う犯人側の状況を交互に描いていくのは、その交点が勝負所。そこをきっちりと押さえ、かつ読者には嬉しい裏切りが用意できるのは、この作者ならではでしょう。『カウントプラン』にも似た倒錯的物語でも読後感が悪くないのは、この「裏切り」があるからでしょうね。しかも最後には少々冒険小説的なシーンもあったりで、楽しめます。