不実な美女か 貞淑な醜女か/米原万里/新潮文庫2006/03/30

ロシア語同時通訳者である著者のエッセイです。いなければ始まらないはずなのに、その実体がよく分からない「同時通訳者」とはいったいどんな人たちなのか? これを読めばその一端に触れることが出来ます。

もちろん同時通訳のことばかりでなく「言葉」を扱う職業ですから、言語学や民俗学の面白さも味わうことが出来ます。

美文だが通訳者の意図が含まれているモノ(=不実な美女)、そしてガタガタだが双方の意志がすべて反映されているモノ(=貞淑な醜女)の対比がタイトルになっています。どちらが良いのかはご一読を。

コメント

_ 冷やしあめ ― 2006年04月10日 12時17分39秒

これ読みました~
この人の本おもしろいですね!

_ 岩田 ― 2006年04月10日 22時27分01秒

冷やしあめさん>
コメントをありがとうございます。
私はすっかり、この著者のファンです。内容ももちろんですが、タイトルも秀逸だと思っています。

_ 冷やしあめ ― 2006年04月13日 21時44分44秒

あ!私の名前左にありました
なるほどー♪

_ ひろぐま ― 2006年04月22日 04時06分59秒

この本のタイトルは、ご本人は「異文化摩擦の余熱」だったか、そんなタイトルにしたかったらしいのですが、「そんなんじゃ売れません」と出版社に言われ、このタイトルに落ち着いたとか。

彼女はガン再発で闘病中だそうですが、快復されるのを祈るばかりです。

_ 岩田 ― 2006年04月22日 15時03分10秒

冷やしあめさん>
左で確認できますから、お使い下さい。

ひろぐまさん>
このタイトルで正解だと思いますよ。思わず手に取ってしまいますから。
wikipediaにも卵巣癌再発とありました。心配です。

_ 小川 ― 2006年09月06日 20時20分28秒

はじめてお邪魔いたします。
早すぎる死が残念でなりません。鋭いナイフを豊かなユーモアで包んで…みたいな文体が好きでした。
私のベストは「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」です。

_ 岩田 ― 2006年09月06日 23時49分40秒

小川さん>

ようこそ、いらっしゃいました。

本当に惜しい方を亡くしました。いつも言う言葉ですが「替わる人物がいない」とは、この方のことだと思っています。

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