町奉行日記/山本周五郎/新潮文庫2006/10/03

短編集です。映画「どら平太」の原作になったのが表題作です。

港湾の利権を食い物にしている業者たちの一掃の命を藩主から帯び、新たな町奉行に任命されたというのに一向に登城してこない「小平太」。しばらくの後、登城しないまま任を解かれたが、港湾は以前の平静さに戻っていたという物語。カッコイイですね、「小平太」(笑)。

図書館戦争/有川浩/メディアワークス2006/10/06

「本の雑誌」が2006年のベスト1位に選んだと言うことで読んでみました。もう「本の雑誌」など信用しません。

「そんな言葉の使い方があるかよ」とか「矮小なことを大げさに書きやがって」などと挙げればキリがありません。まあ、「選ばれた者たち」の無意識的な自我が鼻につくとでも言っておきましょうか。読むだけ時間の無駄です。ご注意を。

私は障害者向けのデリヘル嬢/大森みゆき/ブックマン社2006/10/09

地獄のような会社を辞めて、次に入ったところがあっさり倒産。切羽詰まって選んだ次の仕事はソープランド。金銭的には落ち着いたけれど、付き合った男を追いかけたら裏切られて、次に選んだのが「障害者向けデリヘル嬢」。介護の経験など皆無なのに…。

これだけ読んだらどれだけ暗い話かと思いますが、内容はそうではありません。一番の底には突き抜けたような明るさがあるからかな?

障害があろうが無かろうが、生きてりゃ性欲ってもんがあるんです。しかし、障害者を歓迎する風俗店はありますか? 車椅子で入れて、しかもバリアフリーのラブホテルがありますか? 彼らが快適ならば、みんなも快適なのです。

彼らを「いないこととする」とする国に「美しい国」を語る資格など存在しないと言っておきましょう。

交通裁判の科学/江守一郎/中公文庫2006/10/15

交通事故の科学的分析を委託されることの多い大学教授のエッセイです。期待していたのですが、それほどでもありません。とにかく他の分析者の批判が多すぎ、読んでいても興醒め。まあ、発表の場を与えられたからには普段感じていることを目一杯書いておこうという気持ちは分かるのですが…。

流れる砂/東直巳/角川春樹事務所2006/10/17

父親がいきなり息子を殺すシーンから始まる物語は、最後まで一気に読ませます。ハードボイルドは、やっぱりホームタウン(ここでは札幌)で展開されるべきですね。オススメです。

やっとかめ探偵団とゴミ袋の死体/清水義範/祥伝社文庫2006/10/18

実は既に志水義範はお腹一杯。でも、この「やっとかめ」シリーズは追いかけています。名古屋の下町で駄菓子屋を形成する婆さんが主人公なのですが、ユーモアの中にもキッチリとしたミステリーが展開されています。個性豊かな婆さんたちがわんさか出てきますが、これがいいです。ミステリーというものに触手が伸びない方にはもってこいかもしれません。

箱崎ジャンクション/藤沢周/文春文庫2006/10/22

久し振りにタイトル買いしました。けど当たり。箱崎JCTでいつも自分を取り戻すタクシードライバー。そして、それを横から見ている他のタクシードライバー。二人が接触するとき、世界の裂け目が広がる。 物憂げな描写とダルい語り口。自分をなくした人の心の中が目の前に広がります。

ならぬ堪忍/山本周五郎/新潮文庫2006/10/25

我慢に我慢を重ねるけども、それは本当に自らの生命を掛けるほどの価値があるのか? 「堪忍」とはその人の矜持の指針であるような気がします。

女子マネ野球主義/磯山さやか/ゴマブックス2006/10/30

アイドルだからってバカにしちゃいけません。彼女は野球を知っています。いや素晴らしい。彼女のファンも野球ファンも、バカにしないで一読を。 本書内で神宮球場における彼女の始球式の画像が掲載されていますが、偶然にも私がスタジアムに行った試合でした。あ、映ってませんよ(笑)。