K・Nの悲劇/高野和明/講談社2006/07/24

 企画が当たり経済的に余裕が出たフリーライター夏樹は、予期せぬ妻の妊娠に「中絶」という答えを出す。妻は同意するものの、時が経つにつれ精神に変調を来す。夏樹と協力する精神科医は、妻の心に他人がいて、中絶を妨害していることを突き止める。妻は自己を取り戻すのか。そしてお腹の子供は。

 「憑き物」とか「多重人格」と言った簡単な話でありませんでした。あくまでも「妻の心の中」が問題であるという前提が崩れていないことに好感が持てます。また、中絶するためには妻が自己を取り戻さなくてはならないという困難さがあり、夫と精神科医は常に葛藤しているのが、物語に奥行きを与えています。結末はどうなるか。ご一読を。

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