冒険の国/桐野夏生/新潮文庫2005/11/12

ディズニーランド近くに住む終焉した親子、外部からの流入家族、自殺したかつての恋人を引きずっている女性、ビルを持っているのに入院しても親族から放置される老人。弾かれた人々は、決して元に戻らない。

著者が1988年、デビュー前にある文学賞に応募した作品を文庫化したものです。結局その賞を取ることは出来ませんでしたが、処女作にはその後の作品を構成する全て詰まっている、の言葉通りの内容です。著者本人にすれば赤面すら覚えるかもしれませんが、現在のファンにとって見れば、非常に興味深い一冊でしょう。