クリスマス黙示録/多島斗志之/新潮文庫2006/05/21

12月。「真珠湾」の記憶で居心地の悪い思いをさせられるアメリカの日本人達。そんな季節に、日本人留学生がアメリカ人の少年を轢き殺してしまう。少年の母親である現職警察官は留学生のカオリへの復讐を宣言し、行方をくらます。日系FBI捜査官タミは、復讐に燃える母親からカオリを守れるのか?

警察官である母親は勤務成績は優秀で、同僚からの信頼も厚い人物です。カオリはお気軽な日本人留学生。そして季節は「パール・ハーバー」。捜査官タミは、日本語を話すことが出来るもののアメリカ人です。この入り組んだ背景に足を掬われそうになりながらも職務に忠実であろうとするタミには、非常に好感が持てます。また、サスペンスに満ちた場面も用意されていて、最後まで面白く読めました。

「汚名」で初めて触れた作家ですが、今回は全く違うテイストの物語でした。次は何を読もうかな。