賞の柩/帚木蓬生/新潮文庫2006/06/16

 ノーベル医学・生理学賞受賞者の氏名を見た医師の津田は、ふとしたことから疑問を抱き、受賞者アーサー・ヒルを調べはじめる。すると、亡き恩師のエッセイから、受賞論文が「盗用」ではないかとの疑問にぶつかった。オリジナルの作成者をスペインに尋ねると、既にアル中になっていた。津田はヒルの「盗用」を証明できるのか?

 もちろんフィクションです。ですが、こんなことがあっても不思議でも何でもないと感じさせるところに筆者の力と、医学界へのイメージがあるのでしょう。医学関係のコトバや専門的な表現が多く出てきますが、(筆者にはもうしわけないけれど)理解できなくても、十分に楽しめます。オススメです。