ヘルメットをかぶった君に会いたい/鴻上尚史/集英社2006/05/27

少し上の世代が懐かしがるフォークソングを集めたCD集のCMのバックに流れる学生運動の映像。そこにヘルメットをかぶった君がいた。涼しげで聡明で、のどかにも見える弾ける笑顔。演出家「鴻上」は猛烈に「君」に会いたくなり、「君」への旅を始める。

小説です。言っておきますが、小説です(笑)。しかも、人捜しというノンフィクションに姿を借りた著者の私小説です。「君」への旅を続けることは、自己の確認をしていく旅でもありました。その途中で諫早湾の河口堰を爆破しようと持ちかけられ同調する「鴻上」は、時代に遅れてやってきた自分に焦っているような印象を持ちます。それは著者の本心なのか、それとも…。

ただ、数年前に諫早湾のニュースが流れたとき、著者はラジオで「さっさと開けろ、バカヤロー」と叫んでいたことを添えておきます(笑)。

さて旅は終わるのか? 「君」に会えるのか? それを些細なことと思う私は「君」に会っているのか? さて…。

オススメです。是非。

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