アフリカの瞳/帚木蓬生/講談社2006/05/13

 診療所に原因不明の患者が運び込まれた。「アフリカの蹄」でも登場したサミュエルと日本人医師シンが調べてみると、全員が日当を貰いながら出自不明のクスリを飲まされていた。調べを進めていく内に、飲まされていた薬はアメリカ製薬会社の試験薬だということが突き止められた。しかし、シンの家族が誘拐されてしまう。このまま調査から手を引かざるを得ないのか…。

 アパルトヘイトが撤廃されて十数年。形だけは民主国家が樹立されたものの、南アフリカは貧困とHIVに席巻されます。ここに目を付けた製薬会社がHIV治療薬の実験場として南アフリカを選びます。HIV対策として全く効果のないクスリをばらまく政府と、巨大製薬資本の思惑が一致し、貧困層が狙い打ちに会います。

どこまでがフィクションで、どこからがルポなのか? 遠いアフリカから日本が透けて見えます。無関係ではありません。