インターネットは「僕ら」を幸せにしたか?/森健/アスペクト2005/10/11

インターネットは本当に便利だ。知りたいことがあればすぐ手に入るし、みんなとのコミュニケーションも簡単だ。しかも、それは世界に広がっている…。ちょっと待った。それは本当か? 検索エンジンの上位にあるものが「真実」なのか? コミュニケーションを取りたい「みんな」って誰よ? 世界に窓が開いているのなら、向こうからこちらも見えてるんだぜ…。

「簡単」と引き替えに「何か」を失う。「何か」とは、プライバシー、主体性、そして民主主義。インターネットは窓を大きく開いているように見えて、実はそこに集う人々は多様性に寛容ではない。また、検索エンジンの上位に来たものが、まるで真実のように一人歩きしていく。寛容さに乏しい人々は、真実(のようなもの)に収斂されていく。結局、声の大きいモノの勝ち。少数派の立ち入る隙間などどこにもない。それで良しとするなら結構。でも、便利さの裏にある危うさには気付いておこうと思う。

この本ではインターネットだけではなく、認証システムやICタグに潜む個人情報収集システムにも言及している。これを読むと、「e-Japan計画」や「ユビキタス社会」なんてのは国民のためではなく、あくまでも権力側の都合で押し進められていることが分かる。スイカ(JR東日本のアレね)に書き込まれているのは利用区間と期限だけではなく、ケータイからのだだ漏れ電波には、何が仕込まれているのやら。ETCもNシステムとデータを統合すれば、とんでもないものになる、いや、現実になっている。

やべぇよ、マジで。