冬のアゼリア/西木正明/文藝春秋2005/10/24

1921年、皇太子裕仁を欧州外遊の際に立ち寄った香港で拉致しようとする朝鮮独立運動家がいた。香港を第二のサラエボにしようとしたのだ。それを阻止しようとする日本人警察官は、その運動家の親族の女性に密かな思いを抱いていた。実行するものと阻止しようとするもの。そして、皇太子を受け入れる側と送り込もうとする側。それぞれの計画と思惑が一点で衝突する。

当時の基本的な情勢が押さえられていて、とても「勉強」になります。ただ、それが全面に出てしまって、教科書的な印象が拭えませんでした。ラスト数ページは読ませますが、それまでが冗長というか…。題材はとても面白いものなので、少々残念ではありました。

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