「悪所」の民俗誌/沖浦和光/文春新書2006/04/08

「悪所」とは人に享楽を提供する場所。その成り立ちを<色><遊><賎>から読み解いていく好著です。必要、かつエネルギーの集散場所であるにも関わらず、いや、だからこそ時の権力から距離的にも遠ざけられた「悪所」は、その「聖性」ゆえ生き残ってきました。

<色>は遊女町、<遊>は芝居町、<賤>は被差別部落。この三者は、来歴を忘れられながらも今日まで、密接に絡み合いながら私たちの「周縁」に存在します。それを現存する古文書や史実、絵画から検証しようとする試みには、新鮮な驚きすら感じます。読後、盛り場を見る目が変わってくることでしょう。

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