犯罪の回送/松本清張/角川文庫2005/07/24

上京中の市長が失踪、都下で死体で発見される。また政敵も東京での不可解な行動後、海で死体となる。背景に市長が押し進める港湾整備があるらしいのだが・・・。 松本清張晩年の作品です。私は密室や時刻表を使ったトリックは苦手なのですが、氏の作品はそういったトリックがメインなのではなく(決して重要ではないってことではありません、念為)、まず「何故」が提起されているので、最後まで良い緊張を持って読むことが出来ます。「本格」や「新本格」、「社会派」などといった言葉の定義付け以前に、もっとこういった作品が読みたいというのが、私のささやかな願いです。